長袖なのか半袖なのか、それが問題だ、という季節ですね。毎年毎年困ってます。
半年ぶりくらいにキーボードを設計しましたので、その紹介をしたいと思います。
外観
恒例の外観です。

特徴としては割といつもどおりです。
- カラムスタッガード
- 乾電池駆動
- 今回は単4×2にしてます。昇圧効率を考えると、ほぼ同容量である単3一本よりも圧倒的に持ちます
- 大体1ヶ月弱利用してますが、電圧が下がってくる気配がなかなか見えません。power profilerでざっくり計算すると3ヶ月は持つという
- 完全無線
- たまーに色々ラグいとかありますが、一回これに染まってしまうと、なかなか抜け出せないです
- ガスケットマウント
- 印刷したケースも真っ黒なのでわかりにくいですが、ほぼ全面にPORONを入れてガスケットマウントにしてあります
- 16.8mmピッチ with low profile
- 今回はLofreeのPhantomを利用してます。タクタイルはそんな得意じゃないんですが、タクタイルっぽくないタクタイルなので割と問題なさげです
- ちなみに前使ってたキーボードでは、初めてキースイッチ自体がだめになる、という経験をしました。5000万回も押してなかったんだけどな
今回のお題
今回のコンセプトは、ずばり Thockyな音にしたい です。前回作ったキーボードは、スイッチプレートをネジ止めするという都合上、かなり音としては高めになっていまして、使ってて割と気になる感じでした。
現場でもキーボード使ってる人は多いんですが、やはり聞こえてくる音でもThockyな音のほうが心地良い感じがします。ただ、これは相当に主観が絡むので、青軸とかでもなければ職場では聞き流すのも肝要ですね。青軸はさすがに苦言を呈していいと思います。
ちなみにThockyとかClackyとかについてはみんな大好き遊舎工房さんを参照するとわかりやすいかと。
https://shop.yushakobo.jp/pages/typing_sound?utm_source=ec&utm_medium=pages&utm_campaign=yomimono
Thockyな音にするためには?
すでに先人が色々検討・実験してくださってるので、まずこの辺を読み込みました。
https://piroriblog.hatenablog.com/entry/2024/12/01/124054 https://kgnwsknt-chef.hatenablog.com/entry/2023/02/02/224137
私の理解では、
- 波長が短い=音が高い、波長が短い=音が低い
- 振幅はエネルギーなので、低音でも振幅が大きい、とかは普通にあります
- 短波長の波は、 減衰が激しい
- なので、多孔質のフォームとかを通すと外に出る前に減衰する
- 長波長の波は、 減衰しづらい
- よく低音が〜ってのがありますが、反射回数と減衰はニアリーイコールなので、そもそも減衰しづらいです
- 完全に減衰させると音にならない
- 考えたら当たり前ですが、音が聞こえるということは振幅が耳に届いている、ということです
というところになりました。つまりうまいこと短波長を減衰させつつ、長波長をコントロールする・・・というのが基本になります。なのですが、音は単純に広がるのに加えて、
- 共振
- 振動数によってはケースとかも振動する
- そもそもケース自体も振動する
- 反響・残響
- あまり残りすぎると、今度は余韻としてのこります。これはこれで嫌がられる
- 干渉
- 音波なので干渉します。ある音を強めたい場合は干渉で同位相を重ねる・・・といったことも必要になります
- 干渉するためにもスペースが必要ですね
とかの要素も加わってきます。正直ただのソフトウェアエンジニアではこの辺を測るなりなんなりするのは、まー無理ですね。
とりあえず目指した部分
ケースはアルミで・・・みたいな話まで出てくるものでもありますが、それをやらなくてもできるポイントはあるのではないか?ということで、一旦以下を妥協ポイントとしました。
- 音の調整は ボトムケース内の詰め方 で調整する
- スイッチプレートと基盤の間にはIXPEフォームを挟む
- これはやってもやらなくてもあんまり・・・という感じではありましたが。複合しないとなかなか
- ケースへの振動はガスケットで塞ぐ
として、音を調整する変数をできるだけ減らす、という形に落としてます。
ケースについて
今回も3D printerでケース・キーキャップを全部作ってますが、音を閉じ込めようとして全面を塞ごうとした結果、ひじょーに厄介な設計になってしまいました。もっとシンプルでいいのに。
ただ、今回PLA Matteを利用したところ、予想以上にいい手触りでした。Matteおすすめです。
結果と次回にむけて
今回はギミック・機能というよりは音という部分にフォーカスしたものにはなりますが、やってみて色々と発見がありました。
今回の基盤ですが、1枚で4つ含める形にしてます。(緑に緑なんであれですが。どうせ何も見えなくなるので、最速&最安でできる緑にしてます)

- 基盤を分割する、ということの有用性
- 今回初めてコネクタを利用して繋いでみましたが、思ったより問題がない上、基盤の自由度が上がるというメリットも享受できました
- ただ、ケーブルが長すぎたのが反省ポイント
- TPUの可能性
- 一個前のキーボードでは、TPUでボトムを埋めましたが、これをPORONと組み合わせることで、より制振と音響を制御できそうな予感がしました
- あと、TPUは振動の吸収もいい(スマホケースで利用されてます)のと、丁度いい硬さももっているので、これをガスケットとして利用するのはあり
音自体は多少Thocky似できたのですが、隙間の調整だったりなんだり、そういったクリアランスの制御などを見ると、やはり既製のキーボードは強いですし、普通に使うだけならそっちにしたほうが絶対いいです。
とはいえ、この 作ってみないとわからない ということが、一つ学びであり面白さでもあるかな、というところです。今回の物自体は使いやすさとかも高いので、バージョンアップしていきたいと思います。